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何が起こるかわからない


初めてヨーロッパへ行ったのは、中学1年のときだった。真ん中の兄が、友達と大学の卒業旅行でドイツ、イタリア、フランスを巡ることになり、そこになぜかぼくがついていった。今考えれば、兄の友人には悪いことをした。せっかくの海外旅行に、得体の知れない子どもがくっついてきたのだから、楽しみも半減したのではないか。

ぼくが自分から「行きたい」と言った記憶はないから、きっと母が提案したのだろう。兄と母が中学にやってきて、担任の先生に直談判したのをよく覚えている。10日前後、学校を休んで旅行をした。島国を出た。13歳でヨーロッパの空気をほんの少しでも吸えたことは、大きな価値のあることだった。

「世界最高のオーケストラ」といわれるベルリンフィルの演奏を聴いたのも、そのときが初めてだった。オーケストラに最も近い席で、ぼくは最初から最後まで、首を左右に大振りしながら爆睡していて、周囲の観客に笑われたらしい。演目も何も覚えておらず、兄には今でも皮肉を言われる。

そのベルリンのホールを再び訪れたのは、8年後のこと。爆睡していた少年は21歳になり、今度は和太鼓の演奏者として舞台に立っていた(写真中央が筆者)。

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そして3回目にそのホールを訪れたのは、それから1年半後の2010年夏。西ヨーロッパ12カ国を自転車で完走したぼくにとって、ベルリンフィルによる演奏は、旅の疲れを癒す祝福の音楽となった。

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まったく、人生はおもしろい。逆転の連続。何が起こるかわからない。大学での4年間はジェットコースターみたいに刺激的で、魂の震えるような瞬間を何度も味わった。社会人になって落ち着いたけど、これから始まる新しい波への、準備期間だと思っている。まだまだ、あの味は覚えている。

人生がどんな線を描くのかは、死ぬときまでわからないけれど、今の立ち位置も、ちゃんと最適な線上にあると信じることができる。仕事は仕事で楽しみながらも、「何か違う」という漠然とした違和感を抱いていて、日々、模索し続けている。

だけど、この悩んでいる時期も嫌いじゃない。和太鼓奏者として本番を迎えるまでの期間も、ヨーロッパ自転車旅というやりがいのある挑戦を見つけるまでの期間も、ぼくは同じように、悩んでいた。

成功したことや、楽しかったことの記憶が先行するけれど、人の回想録には奥の方にしまっていた記憶を呼び起こす力があるらしく、蜷川実花さんのエッセイを読みながら、そんな日々のことを思い出していた。

和太鼓の練習が辛くて夜の神社で大木にすがりついて泣いていたこともあったし、協賛集めで社長に怒られて怖い思いをしたこともある。でもそんな時間こそが青春だったと今では思えるから、きっと今悩んでいることも、5年後、10年後から見れば、輝かしく思えるのだろう。

まだ答えは見つかっていないのに、不思議な清々しさを感じている。これから5年先、10年先も、きっと今からは想像すらできないことが起こるはずだ。とにかく、本気で生きて、感性を全力でぶつけたい。

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